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得居です。1月30日にリクルートGINZA8ビルで開催された第2回全脳アーキテクチャ勉強会にて、Deep Learningについて講演しました。
全脳アーキテクチャ勉強会は「人間のように柔軟汎用な人工知能の実現に興味のある研究者、脳に興味のあるエンジニア,関連分野(神経科学、認知科学等)の研究者間での交流をはかりつつ、こうした取組へ関わるきっかけ」作りが目的の勉強会です。今回は主催者の一人である産総研の一杉裕志先生、筑波大学の酒井宏先生、そして私が講演を行いました。最終的な来場者数は把握しておりませんが、200名超の大規模な勉強会となりました。
私の発表は Deep Learning の最近の進展について、できるだけ幅広い学習手法やモデルを紹介する内容です。各手法の実際の成果がどうかというよりは、今後の研究の種になりそうな面白そうな話題を詰め込みました。発表後にも多数の質問を頂き、その後の懇親会でも終電まで脳と機械学習の関係について議論が尽きず、脳の研究をしている人にとっても Deep Learning は気になる話題なのだということを実感しました。逆に私自身も学習機構としての脳にますます興味が膨らみました。
私の直前に話された酒井先生の講演は視覚野についてでした。前半は V2 野における Border Ownership(輪郭を作っているのがどちらの領域にうつっているものなのか判定する問題)を簡単な線分の pooling 処理で実現できるという話で、ビジョンに対する知識として面白かったです。後半は V4 野における曲率選択的なニューロンの反応を V2 野の発火を入力としたときの Sparse Coding で模倣できるという話で、Sparse Coding がここまでニューロンの反応に似るというのは驚きでした。
全脳アーキテクチャ勉強会は今後も開催されるようです。工学の側にいる身としては、脳の科学的知見がさらに技術の発展に活かせると嬉しいですし、逆に Deep Learning のモデルの進歩が神経科学や認知科学の発展に貢献できる日がくるとよいなと思っています。