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2016.04.27

GPUの祭典・GTC2016に参加しました

Shohei Hido

VP of Research and Development

比戸です。4月4日から開かれていた世界最大のGPUイベント、NVIDIAのGPU Technology Conference (GTC) 2016に参加しました。

GTCは今年もシリコンバレーの南端サンノゼで開催され、昨年に比べて約50%参加者が増えたそうです。日本からの参加者もかなりいて、特にゲームやHPCではない業界関係者が多かった、という噂を聞きました。

今年も初日の基調講演にはNVIDIA CEOのJen-Hsun Huangが登壇したのですが、強調していたのは今後フォーカスする領域が、VR、自動車、そしてディープラーニングの3つであることでした。

昨年もGPUを用いた人工知能技術の話が中心で、TeslaのElon Muskとの対談などがありましたが、今年は方向性をより鮮明にしたことになります。グラフィックスやHPCなど既存ビジネスとのバランスを取りながら、新しい事業領域への投資を思い切って行う、創業CEOならではの決断力、本気度を感じました。

その後の招待基調講演も2日目にIBM Watson、3日目はトヨタが新設したToyota Research Institute (TRI)のCEO、元DARPAのGill Prattという、フォーカス領域に沿った顔ぶれで、3000人収容の会場が毎朝埋まるほどの盛況ぶりでした。(各基調講演の録画はこちらから視聴できます)

CEO基調講演でのさらなる発表は、新しいPascalアーキテクチャに基づくフラグシップ製品・P100と、それを8枚積んで繋げた世界初の1ノード・ディープラーニングスパコン、DGX-1でした。NVIDIA製GPUがディープラーニング応用のデファクトスタンダードということは、その限界もNVIDIAによって更新されるわけで、これらの製品によって既存応用の精度が向上し、また新しい応用が広がるのは間違いないでしょう。

他にも通常セッションで企業の事例紹介や、アカデミックな研究発表、ハンズオンラボなどが並列開催されており、特に自動運転関連のセッションはほぼ満席で、注目度の高さを感じさせました。

その中でもROBORACEは、無人自動運転車を使った世界初のカーレース、しかも今年中にスタート予定ということで、あまりモータースポーツに興味が無い私でもワクワクする話題でした。車両スペックは共通で、純粋に自動運転のロジックで勝負する、予選はシミュレータ上で行う、などの割り切りで、新しいスポーツエンターテイメントの可能性が切り開かれそうです。

さてPreferred Networksとしてもただ聴講に行っていただけではなく、Chainerの紹介セミナーとハンズオンラボがあり、両方を私が担当しました。

ディープラーニング関連セミナーは人が多いだろうという主催者の読みから、Chainerもキーノートと同じ大会場のセッションで、席はもちろん埋まっていないものの、高い壇上から広い会場を見下ろしつつの発表はなかなか貴重な体験でした。

GTC Chainer seminar

発表時間がTorchとTheanoの間に割り当られており、また同じタイミングでNVIDIA公式の開発者向けディープラーニングフレームワーク紹介にもChainerが新たに追加されるなど、NVIDIAからも主要なフレームワークの1つとして認識され、積極的にサポートを受けられているのを感じ、大変うれしいですね。

翌日のハンズオンの方も、予想より多い人出があり、部屋がほぼ埋まっていました。AWS GPUインスタンスを使ったJupyter Notebook上のChainer実行環境が一人ひとりに与えられ、MNIST画像認識タスクを例題に実際にニューラルネットワークを構築・訓練するコードに触れてもらいました。90分の短い時間でしたが、Chainerの使い方と仕組みを理解してもらえたのではないかと思います。

GTC Chainer handson

その時に使ったNotebookを、せっかくなので抜粋版としてgithubで公開しました(日本語版/英語版)。コード例だけではなく、ストーリーの流れに沿って文章で解説していますので、1人ハンズオンとしてご利用頂けるのではないかと思います。

バージョンアップ対応などは未定なので、ひとまずhidoの個人レポジトリとしていますが、多くの人に使ってもらって、Chainer活用の入り口となればいいと思っています。コメントやIssueもぜひお寄せ下さい。

最後にGTCのまとめに戻りますが、昨年の同イベント時には、まだChainerもTensorFlowもCNTKもありませんでした。Googleと少数の車会社以外の自動運転への取り組みもまだ表に出ていませんでした。今は全く違う風景になっています。GPUと人工知能を取り巻く環境はもの凄いスピードで進んでいますが、その流れの一端は、このイベントで見られる気がします。来年のGTC2017ではどうなっているか、楽しみです。

謝辞: 写真はNVIDIAジャパンの方にご提供頂きました。ありがとうございます。

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