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2022.12.26

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PFNで10年続く読書会について

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Katsuya Yamamoto

総務・ファシリティ担当のやまかつです。初blogなので軽く自己紹介します。4年前にインテリア設計事務所からPreferred Networks (PFN)に総務担当として入社しました。ワークスペースや実験環境の構築や運営維持が主な仕事ですが、実は入社前から読書会のことは噂に聞いており、当時から参加することを楽しみにしていました。本好き・本屋好きです。

PFNが読書会について社外に紹介するのは初めてかもしれません。PFNの前身であるPFI時代から10年以上毎週続いている社内イベントです。読書会の紹介を通じて、みなさんにPFN社内の雰囲気を少しでもお伝えできればと思いblogにまとめてみました。併せて、読書会から派生した夏のインターン向け企画「PFNメンバーによる選書」についてもご紹介します。

PFN読書会とは

PFN読書会とは、社員が最近読んだ本を紹介する会です。当初は知見を広めることが主な目的でしたが、社員数も増え、リモート勤務も増えた現在では、社員同士の交流の機会にもなっています。

様々なメンバーから、ジャンルを問わず本が紹介されるので、効率的に知識を増やしたい、学びたいという観点からみると、読書会とはコスパ・タイパの高い形式では無いかもしれません。それでも、PFNがどうして読書会を10年以上も継続しているのか?今回は具体的にPFN読書会の形式や運営方法を紹介しながら説明したいと思います。

現在の読書会の形式

PFN読書会の基本形式は以下の通りです。

  • 週1回、12:20-13:00 ※任意参加。食事しながら参加する人が多い。
  • お勧めの本を一人10分~15分程度で紹介する。
  • ファシリテーター1名は事前に決めておく。
  • 紹介準備に時間を掛けない。スライド等も不要で、Webサイトの目次を画面共有する程度で十分。
  • ジャンル制限なし。(技術書に限らない。新書や漫画もOK)
  • 知見を広めることを主眼とする。(知見を深めるのは別途隔週開催している社内の他のイベントを活用する)
  • 本の紹介が終わったあとに質疑応答時間を設ける。
  • 紹介された本のデータは履歴を残す。
  • 紹介テーマは事前に決めない。
  • 新入社員もエンジニアも非エンジニアも垣根なく参加。
  • (最高研究責任者の岡野原大輔も定期的に参加しています)

読書会の形式は最初期からほとんど変わっていません。当日の進行については事前に取り決めず、直前にSlackチャンネルで自発的に手を挙げる方に任せることが多いです。誰もいなければ、「今日紹介したい方、いませんかー?」「じゃあ、誰もいなければ僕が……」という流れでゆるくスタートします。もう様式美というか、お約束的な感じになっています。たまに気が向いたとき、別の形式の読書会も実施しています。例えば以下のような形式がこれまでにありました。

  • 紹介する本のテーマを決めて紹介者を募る回(12月は今年のベスト本紹介でした)
  • 2人で1冊を一緒に紹介する会
  • 課題本を選定し、複数名が意見を交わす会
  • 著者による本の紹介(出版裏話など)

読書会の実施場所や運営体制の変遷

読書会は、PFNの前身であるPFIの時代(10年以上前)に、当時からメンバーだった海野(@unnonouno)などが発起人となってスタートしました。形式が当時から基本的に変わっていないのは「とにかく気楽に参加できること!準備しないこと!」という原則が大きな理由かもしれません。形式はほとんど変わっていないのですが、実施する場所は状況に応じて変わっています。最初期は当時の本郷オフィス会議室で参加者が2、3人だけの日もあったと聞いています。

6年ほど前、大手町ビルに移転し社員数も増えてきた頃には、オフィスのカフェテリアの一角で開催し、皆が食事を持ち寄っていました。個室では無くオープンエリアでプロジェクターやマイクを利用していたので、出入りも自由で、最も気楽に参加できた時期だったかもしれません。新入社員にとっても会社の雰囲気を共有する機会の一つになっていました。

2年ほど前にCOVID‑19への感染対策のため、業務がリモートワーク主体になった時期に読書会もリモート開催に移行しました。終了後に録画を共有することやSlackへの書き込み、紹介された本の履歴をGitHubのissueに記録するなどの方法で、非同期でも参加しやすい環境が整いました。このころから運営・ファシリテーターをリサーチャーの鈴木(@shu65)が主体的に対応し、僕は補佐的に運営に関わるようになりました。

そして現在は、出社しているメンバーがオフィスからリモート参加者向けに中継するハイブリッド形式の開催になっています。画面は、オフィスのカフェエリアの一角に360度カメラ+マイクスピーカー(ソースネクストのKAIGIO CAM360)を配置して投影しています。これによって、カフェエリア全体の様子がリモート参加者にも伝わり、カフェテリアで偶然通りかかったメンバーも気楽に参加しやすくなっています。

一時期の完全なリモート開催に比べると、ハイブリッド開催は運営負荷もかかりますが、それでも気楽に参加できることや、出社している社員のエクスペリエンスの向上などが感じられるので、オフィスからの中継には実施価値はあると感じています。この部分は総務・ファシリティ担当としても、今後の働き方や、オフィスの在り方に欠かせない気がしているので試行錯誤を続けています。

最近紹介された本

せっかくなので、PFNの読書会でここ1,2か月の間に紹介された本を順番に並べてみます。

  • 最近紹介された本
    • 『Moonshot(ムーンショット)~ファイザー 不可能を可能にする9か月間の闘いの内幕』
    • 『35歳からの反抗期入門』
    • 『友達の数は何人?―ダンバー数とつながりの進化心理学』
    • 『茉莉花官吏伝 皇帝の恋心、花知らず』
    • 『その着せ替え人形は恋をする』
    • 『ちはやふる』
    • 『線形計算の数理』
    • 『このライトノベルがすごい! 2023』
    • 『若きアスリートへの手紙――〈競技する身体〉の哲学』
    • 『絶対に面白い化学入門 世界史は化学でできている』
    • 『2030 半導体の地政学 戦略物資を支配するのは誰か』
    • 『Technology Roadmapping and Development: A Quantitative Approach to the Management of Technology 1st ed. 2022 Edition』
    • 『トゥー 多様体』
    • 『科学は「ツキ」を証明できるか――「ホットハンド」をめぐる大論争』
    • 『ヒストリエ』
    • 『手口ニュートラル 混沌を生き抜く思考法』

インターン参加者へ向けてのPFNメンバーによる選書

先に述べたようなPFN読書会文化の背景もあり、今年の夏にはインターン期間中に「PFNメンバーによる選書」という企画も行いました。インターン参加者との会話のきっかけになればという意図を込めて、社内全体から「インターンの頃に出会えればよかったと思う本」というテーマで選書の募集をした結果、71冊の推薦がありました。インターン期間の約2ヶ月は、カフェエリアに選書された本をすべて並べ、選書理由や選書者(記名・匿名あり)も閲覧できるようにしました。インターン参加者に限らず、社員同士でも選書された本についての意見が交わされました。

この期間は、昼の読書会でも選書者自身による本の紹介や、インターン参加者から本を紹介する企画などを行い、交流を深めました。インターン最終週には、早い者勝ちで1人一冊贈りました。誰がどの本を選んだのかは分かりませんが、大勢の学生に本を持ち帰っていただきました。

まとめ

このエントリーでPFN読書会の雰囲気が少しでも伝わっていればと思います。PFNには読書会以外にも様々な交流の機会があります。テックトーク(専門的な内容を発表する会)、豆部(コーヒー好きが集まってコーヒーを淹れて雑談する会)、論文読み会、その他いろいろ、また機会があれば紹介したいと思います。

読書会という交流体験を通じて同僚がその本に興味を持った背景を紹介し、質疑応答や感想を共有することは、社内文化の醸成にも役立っています。長年継続している背景には、思考の余白を楽しむ余裕、知識取得の欲望、同僚への敬意、多様性を理解しようとする姿勢があると思っています。

ハイブリッド型のワークスタイルが主流となったいま、PFNではコミュニケーションの重要性に皆が気づいており、オンライン、オフライン問わずにさまざまな施策に取り組んでいます。コミュニケーションは本人が受け手になるだけではなく、コミュニティを作る意識と行動(コミュニティビルディング)が重要だと感じています。

PFNには様々な専門性を持つ人たちが集まっています。読書会には、異なった視点の多様性を尊重して交わることで、新しいものを生み出そうという社内文化が現れています。これからも読書会は続くでしょう。機会があれば、いつかは社外の方と読書会を通じた交流もできればと思っています。

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